この恋の味は一言で、いや一口で言うと苦かった。
苦くて苦くて苦くてほんの少しだけ甘い味がするそんな恋だった。

自転車に乗って煙草を吸う。
燻る煙の香りはしない。
コンビニから溢れた光は私の漕ぐ自転車のライトの光と混ざり合った。
君のことを考える。
苦い、きっと煙草のせいだ。
休日に君のことを考えて何も手につかなくなることはもうないだろう。
よかった、私の人生を返してくれて。
私は彼の目に映る私が嫌いだった。

日付が変わるまで毎晩眠たい目を擦りながら、真っ赤なウェブサイトを開き、頭がクラクラする言葉を投げつけられる。
私が私を嫌いになる恋はやめておいた方がいいという恋の神様とやらのアドバイスらしい。
それは時に甘くて、時に的外れで、苦い。

朝がきて、今日はいつもと髪型を変えてみる。
君を好きになってから少し工程が多くなったスクールメイクをいつもの順序でこなす。
君に会うかもしれないから。
君が私を好きになるかもしれないから。

無意識に君を探しては、どうか君を好きじゃなくなった私を好きになってほしいと願う私がいる。
私を好きじゃない君を好きな私を飼い慣らせないまま今日も誰かの冗談に笑う君を見て好きだと思う。
どうか1度でいいからあの笑顔を私に向けてくれれば良かった。
それだけで良かった。
それはもう叶わないけれど、君の笑顔が見られるならばその笑顔の先にいるのは私じゃなくてもいいかなと今はそう思うことができる。
君だって私の最高に可愛い笑顔を独り占めできたことは一度もないのだから私たちの立場はお揃いで、私たちのカバンについているキーホルダーは別々で、ずるい人だなと思う。
君がかつて愛し合った人を今も愛すように、私も私を愛してはくれぬ君を愛しているだけだよと言ってやりたかった。
嫌われたくなかったから言えなかった。
言わなくて良かったなと思う。
まだ可能性を考えてしまう私が嫌い。

私の恋を応援してくれた協力者各位、私はいつから滑稽に盲目に恋を追いかけていましたか。
彼を好きになったその瞬間からでしょうか。
じゃあ、教えてくれても良かったのに。
私は私の知っているやり方でしか恋をできないのに誰も教えてくれなかったこと、許してあげません。
自分勝手な私はきっと貴方達にも見捨てられちゃうかもね。
その時が来ないことを願います。
さようなら、私の死んだ恋。