それは初めて訪れてきた不思議な感覚だった。彼といると空気が薄くなった気がして呼吸が上手く喉を通らない。火照った身体を冷まそうと窓を開けると、吹き込んだ春風が君の癖のある髪を揺らして雪のように白いうなじが見え隠れする。そのたたびに鼓動が激しく高鳴り、胸が苦しくなる。乱れた黒髪を耳にかけ直す仕草は男性には不似合いな色気があって、とても魅力的だった。