淡色の君と、透明なセカイ




「あの、それ‥‥‥‥」

俺が本を取り出すと、彼女が声をかけてきた。




「ん?これ?」


「表紙、見せてもらってもいいですか‥‥‥?」


「‥‥‥‥うん」なんで表紙‥‥‥‥?




俺から本を受け取って、淡い赤色の表紙をめくる。

タイトルを確認したのか、「あ、やっぱり」と呟くのが聞こえた。




「どうしたの?」


「これ『ハプスの日記』ですよね‥‥‥‥」


「‥‥‥‥?うん」なんで知ってるんだろう。





「わぁぁ‥‥‥‥!!表紙見たときからそうじゃないかなぁ、って思ってたんです!
数十年前に出版社の倒産で絶版になったって聞きましたけど‥‥‥‥!!持ってる人、初めて見ました‥‥‥‥!!」


キラキラの笑顔を向けてくる。



こんな表情(かお)、するんだ‥‥‥‥。






突然のことにびっくりして固まっていると、
「すみません、急に大声出して‥‥‥‥!!」と頭を下げてくる。


「‥‥‥‥ううん」


「この表紙の色が素敵で‥‥‥‥お話もすごく好きなんです」と、握りしめていた本を返してくれる。