「委員長と登校時間被るの珍しいね」
「確かに」
「あー、クラス発表ドキドキするなぁ」
そのままサッカー部の連中と一緒に行くのかと思いきや、一緒に並んで歩き出した螺良は平然と会話を始める。一瞬、自分の感覚の方がおかしいのかと錯覚してしまうほど自然な行動。
だけど、去年からこいつはそういう奴だった。
一人でいる人を放っておけない、まさに太陽のような存在。
「今年も委員長と同じクラスだったらいいなぁ」
「……もう今は委員長じゃないけどね」
「えー、そうなんだけど、委員長は委員長なんだよなぁ。名前で呼んだ方がいい?」
「別に螺良が呼びやすい方でいいよ」
「じゃあ、やっぱり委員長だ!」
屈託のない、にかっとした笑顔を向けられると何でもよくなってしまう。
一年生の時にクラス委員長を務めていたせいで、クラスメイト全員から「委員長」と呼ばれるようになってしまったのだけれど、進級して委員長の任を解かれてもこの呼び方は変わらないらしい。それほど馴染むあだ名をもらってよかったと喜ぶべきか、否か。
うーんと考えていると、いつの間にか下駄箱前まで来てしまっていた。新しいクラス分けが書かれた大きな紙が張り出されていて、人集りができている。