「あ、売ってるかな?」
『石屋か?』
目に止まったのは天然石のアクセサリー屋だ。

「東丿島は鉱石の名産地みたいなものでして、売ってるかなって」
鉱石の実物は見たことがある。奴隷と働かされ運んだのだが、盗みを疑われ石や大きい石を投げられたり叩きつけられた痛い思い出だが、鉱石の名前はわからないが綺麗な石だった事は忘れられなかった。


『俺がいた時はまだ鉱石が採れるなんてなかったんだがな』
十六夜が島にいた時期となると数百年前だ。

「天然石ってスピリチュアル?な意味とかあるんですね。ローズクォーツって淡いピンク色で可愛い」


「あの…」
『ああ、買え』
「ありがとうございます」

「あの…ついでに…」
『だから好きにしろ』

数点の天然石と天然石のクジがやっているので数回お願いした。


『お前も女だな。装飾品に目覚めるとは…神の中には女人はいるが殆どが好んでいたな』

「そうなんですか?…天界に帰りたいんですか?」

『俺は捨てられたからな…元の姿に戻っても帰れないだろう』

「変な事、聞いて申し訳ございません」

『いや、いい。俺は元の姿に戻り、八重の魂だけ回収できればな』

十六夜は榛名の手を握る

『俺はお前を手に入れられただけで幸運だ』

「…私も十六夜様に見つけいただき、幸運です」


(私、八重さんに嫉妬してる。十六夜様に勝手に想うだけで幸せなのに…これ以上望んじゃいけないのに…)

榛名は十六夜が自分の魂の前の持ち主と神通力の力しか求められていないと解っていてもモヤモヤと十六夜への気持ちは高まる一方だった。