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目覚めると十六夜の顔があった。

「!」
ビクッとして起き上がるが、すぐに引き寄せられお役目のキスをされるも数秒で離された。


『唇が荒れているな』

枕の下からリップバームを出し、榛名に塗った。

『紅のようだな』

ほんのり薄いピンクが付くリップバームのようだ。

『うむ。これはそそる』

「ぅ…あっ…んんぅ…!」

(十六夜様のキスいつもと違う!)

唇を重ねては離しを何度も繰り返した。
最後に榛名の唇をペロッと舐めた

「ひゃぅ!」

『すまん。お前の唇が美味そうだった』
「いつもと違うんですね」

『たまにはな。同じだと飽きるだろ、嫌か?』

「十六夜様の生贄ですからお好きにどうぞ」

リップバームを渡される。

「十六夜様がお使いのものでは?」
『俺様は使わない。お前の唇が乾いていたなと思って買ってきたんだ』

「私のため…?」
『役目のためだ』

(それでも嬉しい…)





榛名の朝食はご飯と大根の味噌汁、卵焼きで簡単にすませる。今日はこれから忙しいのだ。

手を合わせ、目を瞑りながら一礼し
「十六夜様に感謝し、いただきます」

『ああ、いただけ』

「十六夜様!どうしてここに?」

『暇だから。お前がメシくってりとこでも観察しにきたが文句あるか?』
「ありません」

(食べにくい…でも温かいご飯は美味しいぃ〜)

『量が少なくないか?』
「私は少食ですから」
『…まともに与えられなかったんだな』

「…………」

『まぁいい。ここでは好きな物を好きなだけ食え。そして肥えたお前を俺様が食うだけだ』

「はい」

(十六夜様になら食べられたいな…なんて…)

「ご馳走様でした」

洗い物をしている榛名を十六夜は横でみていた

(見られてるだけで緊張する。私、粗相してないよね)


『これからどうするんだ?』
「昨日のわかめと昆布を食べられるように処理しようかと」

『俺様もやろう』