「死にたい」
いつからそう思い出したんだっけ
正直、よく覚えてない
でも、最近は学校も家もイヤで、つらい
逃げ出したいのに、逃げ出せない
「桃山さーん、どうぞー」
優しそうな女の人の声がした。
あっ、呼ばれた。行かなきゃ。
病院のカウンセリング室に足を運ぶ。
…話すのは、疲れるから苦手だ。
………
1時間のカウンセリングが終わり、ロビーのいすに座る。
この病院は、私の住む家から約30分のところにある、隣町の総合病院だ。
今日は3連休ということもあり、2ヶ月ぶりにカウンセリングを受けに来た。
はぁ〜、疲れた。
…明日から、また学校か。
また、頑張らないといけないんだ。
イヤだな。行きたくない。
「琴音、…琴音!
大丈夫?ボーッとしちゃって。
お母さん、お会計呼ばれたから、ここで待っててね。」
「うん…。」
いけない、またイヤな事考えてた。
この癖なおさないとな…
そんな考え事をしていると、ふいに男の子の声が聞こえた。
「北野さん、あの植物の名前なんて言うの?」
私は無意識にその声がする方を見た。
そこには、看護師の女の人と、
車椅子に座った男の子がいた。
2人は窓の外を見て話しているようだった。
「白くん?」
つい、口から名前がでた。
あまりにもその男の子が、幼なじみに似てたから。
数年前、何も言わずに、急に引っ越した、
幼なじみに。
