「死にたい」
いつからそう思い出したんだっけ。
正直よく覚えてない。
でも、最近は学校も家もイヤで、つらい。
逃げ出したいのに、逃げ出せない。

「桃山さーん、どうぞー」
優しそうな女の人の声がした。
あっ、呼ばれた。行かなきゃ。
病院のカウンセリング室に足を運ぶ。
…話すのは、疲れるから苦手だ。

      ………

1時間のカウンセリングが終わり、今はロビーの受け付けにいる。
はぁ〜、疲れた。
…明日から、また学校か。
また、頑張らないといけないんだ。

イヤだな。行きたくない。

「琴音、…琴音!
大丈夫?ボーッとしちゃって。
お母さん、お会計呼ばれたからここで待っててね。」
「うん…。」
いけない、またイヤな事考えてた。
この癖なおさないとな…

 「北野さん、あの植物の名前なんて言うの?」

考え事をしていると、ふいに男の子の声が聞こえた。
私は無意識にその声がする方を見た。

そこには、看護師の女の人と、
車椅子に乗った男の子が窓際にいた。
2人は窓の外を見て話しているようだった。

「白くん?」

つい、口から名前がでた。
あまりにも幼なじみに似てたから。
数年前、急に、何も言わずに引っ越した
幼なじみに。