「なんだてめー!」
 金髪の男が仮面越しに男性をにらみつける。

「粗野で品がない」
 男性は顔をしかめた。
「若様!」
 男の子が男性の足元にかけつける。

「あのお姉さん、オレを助けようとしてくれたんだ」
「まったくお前は。急にいなくなったと思ったらこんなトラブルを」
 あきれたように男の子の頭を撫で、匿うように後ろに下がらせた。

「痛い目を見たくなければとっとと失せな」
 金髪がすごんだ。

「あきれるほど陳腐なセリフだな」
 男性はなんの感情もなく応じる。

「なんだと!」
 金髪が気色ばむ。

「さて、痛い目を見るということだが」
 青年は嘲笑を浮かべた。

「そのままそっくり返してやろう」
 男性の目が月の光をうけて青銀に光った。