二人の頭上で、車は逆さづりのように、二人を狙うようにゆらゆらと揺れる。
 男たちは腰が抜けたのか、逃げようともせず震えながら頭上を見上げる。
「や、やめてくれ……」
「悪かった、俺が悪かった!」
 意識をとりもどした金髪が仲間の目線に気が付いて上を見た。
「うあああ!」
 金髪が叫ぶ。
 直後、車が落ちた。
 すれすれで落ちた車はぐしゃりと正面が潰れ、男たちは恐怖で気絶した。
 龍はにやりと笑って尊琉の姿に戻った。
 萌々香は驚きすぎて声もない。
 目の前で起きていることが現実とも思えなかった。
 尊琉は萌々香を横抱きに抱いた。
「少し飛ぶぞ」
 尊琉が宣言した直後、体が浮いた。
 空を飛んでる!?