「半分ずつでは?」
「一枚はあなたの分よ」
 萌々香が答える。
「初めての君からのプレゼントだな」
「言い方がいちいちおかしい」
 萌々香は居心地悪く答えた。彼の言葉にいちいち心がうわついてしまう。
「萌々香ちゃん、今日はお姫様かい。いい男をお供につれてるね」
「素敵でしょう?」
 萌々香は恵武の背に手をあてて言った。
 えへん、と恵武は得意そうに胸をそらした。
「ちょっと案内を頼まれて」
「今日はサービスだ、あげるよ」
 おじさんは三枚ほど焼きたてのせんべいをくれた。海苔でハロウィンのお化けのような顔をつけてある。
「ありがとう!」
「また言い忘れた! トリックオアトリート!」
「はいよ」
 おじさんは笑って応じた。