あっと言う間に来てしまった卒業式。
 みんな袴やスーツを着て、みんなで最後の合唱をして、記念撮影をして、卒業証書も貰って。
 中には泣いている人もいた。
 私も涙が溢れそうになったが、恋沼(こぬま)先生の前で泣くわけにはいかないと必死に涙をこらえた。
 卒業式が終わり、みんな仲の良い人と打ち上げに行っているなか、私は恋沼先生に会いに行っていた。
 別れを告げるのではなく、また会う日まで待っていてほしいと言うために。
 恋沼先生は校庭の大きな桜が植わっているところにいた。
「恋沼先生~!」
私が走りながら手を振ると、普段は着ないようなきっちりしたスーツを着た恋沼先生が手を振ってくれた。
 恋沼先生のところについて息を整えながら私は
「えっと..私...」
上手く言葉が出ない。頑張れ、私。
「立派な先生になって帰って来るので、その時、私で良ければ、付き合ってもらえませんか!?」
 そう言って自分が言ったことを理解した時、顔がかぁっと熱くなった。
 何やってんの自分!!頑張りすぎ!心の声出しすぎてるってば!!
 恋沼先生をなかなか直視できず、やっと恋沼先生を見れた時、私に衝撃が走った。
 顔を真っ赤にしてマンガとかで照れたときに出てくる「シュー」という文字も見えてきそうなくらいの照れ顔をしていた。
 いや......可愛い過ぎない!?恋沼先生ってこんなピュアだったの!?照れ顔可愛い過ません!?今すぐ写真撮って待ち受け画面に設定したいっ!!!
「えっあぁ、せ、拙者で良ければ......」
今まで聞いた恋沼先生の喋り方の中で一番覚束無い口調で恋沼先生はイエスと言ってくれた。
 えっと、これってイエスだよね?勘違いしたらここ人生で一番恥ずかしい瞬間だよ?
「えっと、それでは!!恋池(こいけ)殿、また会う日まで!」
 恋沼先生はそう言うと走って学校を出ていった。
 これから勉強頑張って立派な先生になって恋沼先生にまた会って言おう。
「付き合ってください」って。
 今までよりも強く私は決心した。