そしていよいよ、卒業式を迎えた。

式が終わったあとに、何人かで写真を撮っている生徒もいた。

「湊さん、卒業おめでとうございます」

真白たちはみんなで買った花束を渡した。

「ありがとう。みんなも元気でね。って言ってもまたすぐ会うと思うけど」

この後、真白は湊の家に行くことになっている。

真白が送別会の後、術師を名乗る二人組がきたことを伝えたら、家に来るように言われた。

「じゃあ、記念に写真撮りませんか?」

要の提案で、記念写真を撮った。

「冴島先生ー!こっちも撮ってくださーい!」

天音がカメラ係をしている千輝を呼んだ。

「ちょっと待ってねー」

他の生徒たちの写真を撮ったあと、千輝がこっちに来ようとしたとき、

「冴島先生!私たちと写真撮ってくれませんか?」

卒業生の女子生徒に囲まれて、身動きが取れなくなっている。

「じゃあ高嶺先生…」

「高嶺先生!そのネクタイ、記念日にもらってもいいですか?」

「ダメだ」

同じく卒業生の生徒に囲まれていた。

「二人とも生徒から人気だからね」

それを見て、湊は楽しそうに笑っていた。

春香は、みんなから少し離れたところで慧のことを眺めていた。

「本条さん」

「は、はい!」

湊が肩を叩くと、勢いよく湊の方を見た。

「俺のでよかったらもらってくれる?」

「え?」

「ネクタイ。ボタンは持ってかれちゃったから」

春香は湊のネクタイを受け取った。

「普通は、後輩がほしいって言ってあげるものだと思うんですけど…」

「記念ってことで。高嶺先生からは本条さんが卒業する時にお願いしてみたら?」

「え、あ…」

春香が視線を泳がせた。

「…はい」

春香は俯いて、湊のネクタイを握った。

その後やってきた別の先生に写真撮影を頼んだ。


写真を撮った後、それぞれで解散した。

真白は湊と屋敷に向かった。

「他のみんなはよかったんですか?」

「うん。まずは真白ちゃんに伝えておこうと思って。叔母さんとは話はできた?」

「そうですね…話そうとはしたんですけど、ちゃんとは話せませんでした」

「でも、行動は起こしたんだね。それができただけでもかなり前に進めたと思うよ」

湊の家に着くと、人が出入りしていた。

「来客がいるみたいだから、真白ちゃんの家で話してもいい?」

「はい。大丈夫です」

行き先を変えて、真白の家に向かった。

「俺は、あまりこっちの屋敷に出入りしたことはないんだ」

「そうなんですか?」

掃除や家の管理などは、湊の母親がしてくれていたらしい。


「それで、この前学校にやってきた術者の話だったよね?」

さっそく本題に入った。