都までやってきた知世は、都で流行り病があることを知った。

薬学に精通していた知世は、薬草を作り、病人に飲ませた。

すると、たちまち流行病はなくなった。

その噂が帝の耳にも届き、知世は帝のいる屋敷に呼ばれた。

知世には、怪我や病を癒す巫女の力を持っていた。

「ねぇ、あなたはなぜ私と一緒にきたの?」

「それは…お前に興味があったからだ」

「あなたは私の初めてのお友達、そうだ。何かお友達の印があるといいんだけど」

知世の提案に、瑞樹はこう言った。

「私もお前が気に入った。お前の眷属になってやってもいい。お前がいう友達とやらの証だ」

こうして瑞樹は、知世の眷属となった。


「…その後、私は綾女によって湖に封印された」

「どうして?」

「知世が霧人と話していたことがあった。それを綾女はよく思わなかった。そして知世も手にかけようとしていた。私はそれに気づき、止めに入ったところを封印された」

その時の綾女は、邪気に体を蝕まれていたようだ。

「まさか…知世を殺したのも綾女なの?」

「いや、そうではないだろう」

そこで真白はあることに気がついた。

「…霧人が、知世を庇って綾女を刺した?」

綾女が亡くなった後も、知世は生きていたと言うふうな発言をしていた。

「どうだろうな。私にはわからないが」

最後に知世は寿人と知恵が説得していた話していた。

「でも霧人は冷酷な人物だったはず…それより後に何があったんだろう…」



「お邪魔します。こちらに桜咲家のご当主はいらっしゃいますか?」

湊の家に一人の青年がやってきた。

「あの…うちになにか?」

湊は学校から帰ってきた帰りだった。

「この家の方ですか?初めまして。僕は玄道充(げんどうみつる)といいます。父に代わり、桜咲家のご当主に伝言があってまいりました」

(玄道…?聞いたことがあるな)

「申し訳ありません。父は今不在でして…俺が代わりに父に伝えます」

「あぁ。あなたが息子さんだったんですね。ではお願いします。百鬼夜行と神儀りが重複していた件について、それぞれ担当を決めての参加となります、と」

それだけ言うと、歩いて言ってしまった。

そこに鵺が姿を現した。

「あいつ、玄武を式神としているな」

「え?玄武ってあの?」

湊は充の後ろ姿を見ていた。

充はチラッと後ろを見た。

「どれだけの力があるか楽しみですね」

「あー!いた充!何で先に行っちゃうの?」

若葉(わかば)。羅衣と日和(ひより)はどうした?」

「どっかにいった羅衣を探しに行くから先に行っててって言われて」

「全く、羅衣の自由すぎる性格にも困ったものだな」