真白は叔母に冷たくはされてはいたが、どこか嫌いになれない部分があった。
叔母が自分を嫌っているのは、何か理由があるのではないかと。
本当に嫌なら、追い出してしまえばいい。
「私、帰ってみようかな」
花蓮は、家に帰ってきたが、鍵がないことに気がついた。
「どこかに落としたのかな?」
「花蓮!」
後ろを向くと、紫音が走ってきていた。
「紫音、どうしたの?」
「お前、廊下に鍵落としたの気づかなかったのか?」
紫音の手のひらにはアパートの鍵があった。
「気づかなかった。ありがとう」
花蓮は紫音から鍵を受け取って開けた。
「じゃあ俺、帰るから」
そのとき雨が降ってきた。
かなりの大雨だ。
「止むまで雨宿りしてったら?」
紫音は、雨が止むまで雨宿りさせてもらうことにした。
「なんか飲み物出すから待ってて」
花蓮はお湯を沸かして、ココアを入れた。
「はい」
紫音はココアを受け取った。
「ありがとう。結奈と天音はまだ帰ってこないのか?」
「結奈は部活。天音は送別会の係になったからそれの準備」
「そうか。剣道部と弓道部は春の大会はないから自主練がメインになってくるもんな」
そのため実質部活は三年生が引退した後は、ほぼ自由参加となる。
「剣道部の主将とは手合わせしたの?」
「うん。負けたけどな。やっぱり体験入部のあれはまぐれだったんだよ。手加減してたんだと思う」
紫音が体験入部に来た時、筋がいいと言われ、試しに主将と一試合することになった。
その結果、紫音が勝ってしまった。
後から聞いた話では、全国大会で入賞するほどの実力を持っていると聞いた。
「剣道、習ってたことあったけ?」
「俺が小さい頃に剣道を教えてくれた人がいるんだよ。まだ小学校に上がる前に」
確か、理音と遊びに行ったときにたまたま会ったのだ。
その人は高校生くらいで、竹刀を持っていたのを覚えている。
幼い紫音たちに、剣道を教えてくれたのだ。
「今はもう、名前も思い出せないけどな。また会いたいよ」
あの時期は夏休みで、遠方から友人に会いにきたと言っていた気がする。
「そうだったんだ」
その時、紫音のスマホがなった。
紫音は画面を見つめたまま動かない。
「出なくていいの?」
「あ、別に大丈夫」
「大丈夫?顔色が…」
家のインターフォンが鳴った。
「あ、誰か来たみたいだ」
「ダメ!」
花蓮が紫音の腕を掴む。
その手は震えていた。
「え?何でだ」
「だって…」
外から話し声が聞こえた。
「あれ、天音と結奈の声じゃないか?」
「本当に…?」
ドアが開いて、天音と結奈が帰ってきた。
「紫音、きてたんだ。…ところで何してるの?」
天音が泣きそうになっている花蓮を見た。
「…まさか紫音、花蓮になんかしたの?」
「え⁉︎何もしてねぇよ!」
「で、さっききたのは誰だったんだ?」
改めて紫音が聞いた。
「なんか桜咲家に行こうとしてたみたい。ここも桜咲家のアパートだから何か教えてくれると思ってインターフォン押したみたいだよ」
確かに屋敷は近くにあるが、普通は聞きには来ないだろう。
天音と結奈が言った。
「なんか少し変わった人だったんだよね」
「変な白い虎のぬいぐるみみたいなの肩に乗せてたし」
叔母が自分を嫌っているのは、何か理由があるのではないかと。
本当に嫌なら、追い出してしまえばいい。
「私、帰ってみようかな」
花蓮は、家に帰ってきたが、鍵がないことに気がついた。
「どこかに落としたのかな?」
「花蓮!」
後ろを向くと、紫音が走ってきていた。
「紫音、どうしたの?」
「お前、廊下に鍵落としたの気づかなかったのか?」
紫音の手のひらにはアパートの鍵があった。
「気づかなかった。ありがとう」
花蓮は紫音から鍵を受け取って開けた。
「じゃあ俺、帰るから」
そのとき雨が降ってきた。
かなりの大雨だ。
「止むまで雨宿りしてったら?」
紫音は、雨が止むまで雨宿りさせてもらうことにした。
「なんか飲み物出すから待ってて」
花蓮はお湯を沸かして、ココアを入れた。
「はい」
紫音はココアを受け取った。
「ありがとう。結奈と天音はまだ帰ってこないのか?」
「結奈は部活。天音は送別会の係になったからそれの準備」
「そうか。剣道部と弓道部は春の大会はないから自主練がメインになってくるもんな」
そのため実質部活は三年生が引退した後は、ほぼ自由参加となる。
「剣道部の主将とは手合わせしたの?」
「うん。負けたけどな。やっぱり体験入部のあれはまぐれだったんだよ。手加減してたんだと思う」
紫音が体験入部に来た時、筋がいいと言われ、試しに主将と一試合することになった。
その結果、紫音が勝ってしまった。
後から聞いた話では、全国大会で入賞するほどの実力を持っていると聞いた。
「剣道、習ってたことあったけ?」
「俺が小さい頃に剣道を教えてくれた人がいるんだよ。まだ小学校に上がる前に」
確か、理音と遊びに行ったときにたまたま会ったのだ。
その人は高校生くらいで、竹刀を持っていたのを覚えている。
幼い紫音たちに、剣道を教えてくれたのだ。
「今はもう、名前も思い出せないけどな。また会いたいよ」
あの時期は夏休みで、遠方から友人に会いにきたと言っていた気がする。
「そうだったんだ」
その時、紫音のスマホがなった。
紫音は画面を見つめたまま動かない。
「出なくていいの?」
「あ、別に大丈夫」
「大丈夫?顔色が…」
家のインターフォンが鳴った。
「あ、誰か来たみたいだ」
「ダメ!」
花蓮が紫音の腕を掴む。
その手は震えていた。
「え?何でだ」
「だって…」
外から話し声が聞こえた。
「あれ、天音と結奈の声じゃないか?」
「本当に…?」
ドアが開いて、天音と結奈が帰ってきた。
「紫音、きてたんだ。…ところで何してるの?」
天音が泣きそうになっている花蓮を見た。
「…まさか紫音、花蓮になんかしたの?」
「え⁉︎何もしてねぇよ!」
「で、さっききたのは誰だったんだ?」
改めて紫音が聞いた。
「なんか桜咲家に行こうとしてたみたい。ここも桜咲家のアパートだから何か教えてくれると思ってインターフォン押したみたいだよ」
確かに屋敷は近くにあるが、普通は聞きには来ないだろう。
天音と結奈が言った。
「なんか少し変わった人だったんだよね」
「変な白い虎のぬいぐるみみたいなの肩に乗せてたし」