真白たちが帰って数週間が経った。

京都には、術師や退魔師が集まって話し合いをする集会がある。

今はその集会が開かれていた。

「来年は、厄年のようだ」

「不吉なことを言うな。来年は百鬼夜行の時期と神儀りの時期が重複しただけではないか」

「ですが、これではどちらかに差が出ます。もし何か起こった時に対処が遅れてしまうことだってあり得る」

「本来はこんなことはありえないのですが…」

集会に参加していたのは、桜咲家の当主、神宮家の当主、一ノ瀬(いちのせ)家当主、青龍寺(せいりゅうじ)家の当主が集会に出ていた。

今回は、術師と退魔師の家の名家の中でもより大きな力を持つ名家の集会だった。

その中で場を仕切っているのは青龍寺家の当主だった。

「年々霊力が衰えてきている。今一番力が弱ってきているのは神宮家だったな」

「ああ。最近は桜咲家の長女のところに次男を婿入りさせたので、持ち直してはきているが…」

「あの時はうちの娘が大変な失礼をして申し訳ありませんでした」

桜咲家の当主が言った。

「いや、うちの長男も引くところを知らないのでな。しかし次男と結婚してくれたことには感謝してもしきれない。現代では政略結婚などほとんどないというのに」

ごほんと青龍寺家の当主が咳払いをした。

「…失礼。話を進めても構わないか?」

「あ、申し訳ありません」

「話が脱線した。すまない」

桜咲家の当主と神宮家の当主が謝罪した。

「ところで子どもたちにも交流をさせる機会を作ろうと思っている。大人になってからいきなり合わせるよりはいいと思うのだが、どうだろう?」

青龍寺家の当主が問いかけた。

「そうですね、うちの息子は神宮家の娘さんとは同じ学校なので交流もありますが、桜咲家と青龍寺家の子供たちとは交流がない。来年、引き合わせてみるのはどうでしょう?」

一ノ瀬家の当主が言った。

「とのことだが他に何か意見はあるか?」

その意見に反論するものはいなかった。

「では、夏季休暇であれば集まりやすいだろう。一度、他の術師や退魔師の家も交えて交流の場を設けよう」