あるところに一人の娘がいた。
その娘は綾女といい、強い霊力を持っていた。
それに加えて、大変美しい容姿をしていた。
勉学や楽器を弾かせても一流で、才色兼備とはまさに彼女のことを指していた。
やがて綾女に縁談の話がきた。
相手は、帝に仕えている術者でぜひ嫁いでほしいと相手が言ってきた。
綾女は快くそれを受け入れた。
綾女の夫となる男は非常に優しい男で綾女を心から愛していた。
しかし、なかなか子供に恵まれなかった。
夫のほうも、綾女との子供を後継にと考えていたのだが、子供ができなければどうしようもない。
それから何ヶ月経っても綾女との子供は生まれなかった。
そんな時に男が、新しい妻を迎え入れた。
この時代は、一夫多妻だったため、珍しいことではなかった。
その妻は知世といって、綾女と互角の霊力を持っていた。
やがて、知世と夫に女の子と男の子の姉弟が生まれた。
そのすぐ後に、綾女も待望の男の子が生まれた。
綾女はこれを喜んだが、先に生まれた方が家を継ぐことになっている。
家を継ぐ子供がいる方が正妻となるのだ。
綾女は自分の息子が知世の息子より優れていればいいと考え、厳しく育てた。
しかし、案の定、正妻に選ばれたのは知世の方だった。
嫉妬に狂った綾女は、夫を殺してしまった。
そして自分の息子には自分の邪魔をするものは殺しても構わないと教え込んだ。
「あれ?続きは?」
あたりは元の部屋に戻っていた。
「どうやらここで終わっているようだ」
渚がページをめくって言った。
「この後はどうなったんだろう?」
『…思い出したぞ。その後私は、成長した霧人に殺された』
真白の頭の中で綾女の声が響いた。
「え⁉︎」
いきなり大声を上げた真白に全員が注目した。
「何か言っているのか?」
渚が尋ねた。
「綾女は、この後、成長した霧人に殺されたって…」
それを聞いた途端皆の表情がこわばった。
「…つまり、綾女のことを邪魔だと思ったってこと?何で実の母親まで殺せるの?」
春香が信じられないと言うような声で言った。
『私にもわからない。ただ、霧人の性格を捻じ曲げてしまったことには変わらない。実際、私は夫を殺している』
「なぜ自分が殺されることになったのかわからないと言っています」
「できれば直接話してもらいたいんだがな…」
「うーん、できないこともないんだけどね。これはかなり危険だからなぁ」
渚がそう言うと、隣に座っていた晶が、口を開いた。
「直接話すことができるんですか?」
要が晶を見て言った。
「…これは生きている人間に霊を憑依させて、直接話すことができるんだけど、それをやる場合、真白ちゃんを器にして、勾玉に封じ込めた邪気や負の感情を一旦綾女に戻さないとできないんだ。綾女は怨霊化することで力を保ってあの場所に存在していたから」
その娘は綾女といい、強い霊力を持っていた。
それに加えて、大変美しい容姿をしていた。
勉学や楽器を弾かせても一流で、才色兼備とはまさに彼女のことを指していた。
やがて綾女に縁談の話がきた。
相手は、帝に仕えている術者でぜひ嫁いでほしいと相手が言ってきた。
綾女は快くそれを受け入れた。
綾女の夫となる男は非常に優しい男で綾女を心から愛していた。
しかし、なかなか子供に恵まれなかった。
夫のほうも、綾女との子供を後継にと考えていたのだが、子供ができなければどうしようもない。
それから何ヶ月経っても綾女との子供は生まれなかった。
そんな時に男が、新しい妻を迎え入れた。
この時代は、一夫多妻だったため、珍しいことではなかった。
その妻は知世といって、綾女と互角の霊力を持っていた。
やがて、知世と夫に女の子と男の子の姉弟が生まれた。
そのすぐ後に、綾女も待望の男の子が生まれた。
綾女はこれを喜んだが、先に生まれた方が家を継ぐことになっている。
家を継ぐ子供がいる方が正妻となるのだ。
綾女は自分の息子が知世の息子より優れていればいいと考え、厳しく育てた。
しかし、案の定、正妻に選ばれたのは知世の方だった。
嫉妬に狂った綾女は、夫を殺してしまった。
そして自分の息子には自分の邪魔をするものは殺しても構わないと教え込んだ。
「あれ?続きは?」
あたりは元の部屋に戻っていた。
「どうやらここで終わっているようだ」
渚がページをめくって言った。
「この後はどうなったんだろう?」
『…思い出したぞ。その後私は、成長した霧人に殺された』
真白の頭の中で綾女の声が響いた。
「え⁉︎」
いきなり大声を上げた真白に全員が注目した。
「何か言っているのか?」
渚が尋ねた。
「綾女は、この後、成長した霧人に殺されたって…」
それを聞いた途端皆の表情がこわばった。
「…つまり、綾女のことを邪魔だと思ったってこと?何で実の母親まで殺せるの?」
春香が信じられないと言うような声で言った。
『私にもわからない。ただ、霧人の性格を捻じ曲げてしまったことには変わらない。実際、私は夫を殺している』
「なぜ自分が殺されることになったのかわからないと言っています」
「できれば直接話してもらいたいんだがな…」
「うーん、できないこともないんだけどね。これはかなり危険だからなぁ」
渚がそう言うと、隣に座っていた晶が、口を開いた。
「直接話すことができるんですか?」
要が晶を見て言った。
「…これは生きている人間に霊を憑依させて、直接話すことができるんだけど、それをやる場合、真白ちゃんを器にして、勾玉に封じ込めた邪気や負の感情を一旦綾女に戻さないとできないんだ。綾女は怨霊化することで力を保ってあの場所に存在していたから」