「確かに京都の本家にあったものですね」

湊に見せると頷いた。

「それがなぜここにあるのかは分かりませんが、調べてみます」

真白は屋敷に帰ってきた。

(今日学校であったの、何だったんだろう?)

旧校舎で見つけた姿見はともかく、本校舎で使っている鏡もおかしな感じがした。

「また何か、変なことが起きなきゃいいけど…」

つい一ヶ月前に霧人(きりひと)のことがあったばかりだ。

「真白」

「ん?」

気がついたら、蘇芳(すおう)がいた。

「蘇芳、どうしたの?」

蘇芳はかつて、彩葉の眷属だった一人だ。

今はこの屋敷で他の眷属である琥珀(こはく)朱里(しゅり)瑞樹(みずき)とともに暮らしている。

「実は鵺から明日、桜咲家のに来るよう真白に伝えるように言われたんだ」

鵺は、湊の家にいるあやかしだ。

いつもは人間の姿に化けている。

霧人を倒すのに協力してくれた。

「え?もう調べ終わったのかな?」


次の日、真白は桜咲家の湊の家に向かった。

「調べてみたけど、あれは霧人の母親が使っていたものを加工したものらしい」

(霧人の母親が…)

「霧人の母親ってことは、寿人(かずひと)の母親でもあったんですよね?」

「…いや、寿人と霧人は母親が違うんだ」

「…え?」

「今度、京都にある本家の屋敷に行こうと思うんだ。俺はもともと、あっちに住むはずだったんだけど、事情があって住めなかったんだ」

「あの、桜咲家の当主って誰なんですか?」

真白は桜咲家のことについて詳しく知らなかった。

「今は俺の父さんが当主だよ。もうじき、俺が継ぐことになるんだけどね。そのためにも、あの本家の屋敷を使えるようにしないと困るんだ」

「その住めなくなった理由って何なんですか?」

「それはね…」

冬休みになったのを利用して、真白たちは京都にやってきた。

「ここが桜咲家の本家だよ」

その屋敷は、湊や真白が今住んでいる屋敷よりも大きかった。

真白たちはその大きさにあいた口が塞がらなかった。

「すげぇ…」

紫音(しおん)は思わず口に出していた。

「本当、今の時代でもこんな建物、あるんだね」

結奈(ゆな)も驚きを隠せないようだった。

「じゃあ、中に入ろう」