「そうですか。では、ちょうど来られるかもしれません。柏木さんたちが来年修学旅行なので」

真白たちの学校も二年生は毎年修学旅行で京都にきている。

「では、ぜひ見に来てください」

「とは言っても、俺や慧さんが来年二年生の学年担当になるかはわからないんですけどね」

「ってこんな呑気に話してられないですよね。今は色々大変なのに」

今、他の人たちは綾女のことを必死になって調べている。

「いえ、今話したことも今回のことと関係があるかもしれません。その百鬼夜行で、桜咲家の神楽を披露するんです」

「桜咲家の、神楽を?」

「はい。術者や退魔師の家系には、必ず神楽を舞える人間が必要なんです。神宮家にもいるにはいるのですが、霊力があまりなく、最後まで舞うことができないんです」

千輝は噂で聞いたことがあった。

神宮家は、術師の名家だが、力が弱くなってきていると。

「来年は、術師や退魔師の名家が神宮家に集まって、合同の百鬼夜行の祭りを行います。来年は特別な年ですから」

そこまで話していたとき、渚がやってきた。

「二人とも少しいいか?」



全員、和室の部屋に集まっていた。

「綾女に関することが書かれた本が見つかった。今からこの本の記録を見る」

この本にはところどころ読めないところがあったようで、あやかしの力で読めるようになるのだという。

渚の横にはあの姿見と化粧道具が置かれていた。

湊が護符を取り出して、鵺を呼び出した。

「鵺、この本の記録を辿りたい。力を貸してくれ」

「わかった。だが、私では少々力が足りん。蘇芳たちも呼んでくれるか」

鵺が真白を見て言った。

「わかった」

真白は琥珀、朱里、瑞樹、蘇芳を呼び出した。

「では、行くぞ」

あたりは白い光に包まれた。