学校は、暖房でかなり暖かくなっていた。
「真白、おはよう」
要が歩いてきた。
「おはよう。寒いね」
真白と要は一カ月前に付き合い始めた。
前世で恋人だったらしく、要をみた時はなんとなく気になってはいた。
(でも、本当に付き合ってよかったのかな…)
真白は、実を言うとまだ不安があった。
好きの感覚がよくわかっていなかったからだ。
真白は今まで恋愛経験がなく、誰かを好きになったこともなかった。
そのとき、廊下の壁にあった鏡が歪んだ気がした。
「え?」
真白は鏡をみたが、ただの鏡だった。
「どうかした?」
前を歩いていた要が振り返る。
「ううん。何でもない」
真白は要の後を追った。
一時間目の授業は、歴史だった。
「鏡は昔から、魔除けとして使用されて来ました。でも反対に不吉なものを呼び寄せることもあります」
そこでチャイムが鳴った。
午前の授業が終わり、お昼休みになった。
「真白。一緒に食べよ」
いとこの春香がやってきた。
「うん」
いつもは、中庭のベンチに座って食べているが、今は冬で雪も降っていたので、旧校舎で食べることにした。
本来なら、立ち入り禁止だが、先生に許可を取れば使うことはできる。
「お昼休みに旧校舎なんかで食べて大丈夫かな…」
「今更?もう何回も来てるんだから、気にしてもしょうがないと思うけど」
心配する真白に春香が言った。
確かに今まで散々出入りしてきた。
「ところでさ…」
春香が歩きながら話しかけてきた。
「真白、神崎くんと付き合ってるんだよね?」
「うん」
「なんか、神崎くんと一緒にいるとき、思い詰めた顔してない?」
「そ、そうかな?」
真白はドキッとした。
「なんか悩んでるの?」
真白は迷った。
付き合っていることを不安に思っていることを春香に相談するべきだろうか?
恋愛相談なんて、したことがなかったのでなかなか言い出しにくい。
「ねぇ、こんな鏡、あった?」
真白が考えていると、春香が立ち止まった。
そこには、前までなかったはずの姿見があった。
「どっかから運んで来たんじゃない?」
使わなくなったものを旧校舎に持ってくることは珍しくない。
「あぁ。そうかもね」
真白が鏡を覗きこむと、女の人がいた。
「え?」
「どうしたの?」
春香が声をかけた。
「今、鏡に…」
真白が再び鏡を見ると、女の人の姿はなかった。
「あれ?見間違いだったのかな?」
「君たち何してるの?」
真白と春香が振り向くと、千輝がいた。
千輝は、二学期から真白たちのクラスの副担任としてやってきた。
来たばかりの頃は真白たちから警戒されていたが、今は誤解も解けた。
千輝は真白たちがみていた姿見に目を向けた。
「それは…」
「ここに来たら置いてあったんです。冴島先生は、どこにあったものだかわかりますか?」
千輝は青い顔をしていた。
「それは、桜咲家の本家の屋敷にあったものだよ」
「真白、おはよう」
要が歩いてきた。
「おはよう。寒いね」
真白と要は一カ月前に付き合い始めた。
前世で恋人だったらしく、要をみた時はなんとなく気になってはいた。
(でも、本当に付き合ってよかったのかな…)
真白は、実を言うとまだ不安があった。
好きの感覚がよくわかっていなかったからだ。
真白は今まで恋愛経験がなく、誰かを好きになったこともなかった。
そのとき、廊下の壁にあった鏡が歪んだ気がした。
「え?」
真白は鏡をみたが、ただの鏡だった。
「どうかした?」
前を歩いていた要が振り返る。
「ううん。何でもない」
真白は要の後を追った。
一時間目の授業は、歴史だった。
「鏡は昔から、魔除けとして使用されて来ました。でも反対に不吉なものを呼び寄せることもあります」
そこでチャイムが鳴った。
午前の授業が終わり、お昼休みになった。
「真白。一緒に食べよ」
いとこの春香がやってきた。
「うん」
いつもは、中庭のベンチに座って食べているが、今は冬で雪も降っていたので、旧校舎で食べることにした。
本来なら、立ち入り禁止だが、先生に許可を取れば使うことはできる。
「お昼休みに旧校舎なんかで食べて大丈夫かな…」
「今更?もう何回も来てるんだから、気にしてもしょうがないと思うけど」
心配する真白に春香が言った。
確かに今まで散々出入りしてきた。
「ところでさ…」
春香が歩きながら話しかけてきた。
「真白、神崎くんと付き合ってるんだよね?」
「うん」
「なんか、神崎くんと一緒にいるとき、思い詰めた顔してない?」
「そ、そうかな?」
真白はドキッとした。
「なんか悩んでるの?」
真白は迷った。
付き合っていることを不安に思っていることを春香に相談するべきだろうか?
恋愛相談なんて、したことがなかったのでなかなか言い出しにくい。
「ねぇ、こんな鏡、あった?」
真白が考えていると、春香が立ち止まった。
そこには、前までなかったはずの姿見があった。
「どっかから運んで来たんじゃない?」
使わなくなったものを旧校舎に持ってくることは珍しくない。
「あぁ。そうかもね」
真白が鏡を覗きこむと、女の人がいた。
「え?」
「どうしたの?」
春香が声をかけた。
「今、鏡に…」
真白が再び鏡を見ると、女の人の姿はなかった。
「あれ?見間違いだったのかな?」
「君たち何してるの?」
真白と春香が振り向くと、千輝がいた。
千輝は、二学期から真白たちのクラスの副担任としてやってきた。
来たばかりの頃は真白たちから警戒されていたが、今は誤解も解けた。
千輝は真白たちがみていた姿見に目を向けた。
「それは…」
「ここに来たら置いてあったんです。冴島先生は、どこにあったものだかわかりますか?」
千輝は青い顔をしていた。
「それは、桜咲家の本家の屋敷にあったものだよ」