真白は、今までのことを説明した。

「…その屋敷、覚えがあるぞ」

瑞樹が言った。

「私が昔、住んでいた屋敷だ。私も一緒に行こう」

確かに眷属を一人連れていけば安心かもしれない。

「うん。わかった。こっちに誰か残ってほしいんだけど」

「俺が残ろう」

朱里が言った。

真白が呼べば、渚に連絡することができるはずだ。

「ついでだ。真白ちゃんの眷属がそれぞれについていた方が連絡が取りやすいだろう」

話し合った結果、春香と湊のところに琥珀、慧と千輝のところに蘇芳がつくことになった。

「春香ちゃんと湊には鏡のことを調べてもらいたい」

「わかりました」

「慧と千輝くんには…私と一緒に行動してもらう」

「つまり、治療の手助けか?」

「いや、あの子たちの治療以外にもやらなくてはいけないことがあってな…隼人くんにもそっちを手伝ってもらおう」

「え?いいんですか?」

隼人は驚いた顔をしている。

「昨日はありがとう。助かったよ。だから今日は他のことを頼めるか?」

「…わかりました」

役割が決まり、それぞれで動き始めた。


「姉さん」
 
湊は、話し合いが終わった渚に声をかけた。

「どうした?」

「隼人のこと…」

「わかってる。体に負担がかかるから今日は別のことをやってもらうんだ」

湊はホッとした。

「ありがとう。姉さん」


真白と要は、再び桜咲家の本家にやってきた。

一緒に来ていた瑞樹は、人間の女性の姿になっていた。

白髪の長い髪に金色の瞳をしていた。

着物は白い着物を着ていた。

「まさか…あの女がいるのか」

瑞樹は屋敷を睨んでつぶやいた。

「昨日来た時と気配が違う…」

要も屋敷を見て顔を顰めている。

「真白、気をつけて」

要に言われて、真白は頷いた。

真白はさっきから得体の知れない恐怖に襲われていた。

中に入るのが怖かった。

「大丈夫。行こう」

真白の様子に気がついたのか、要が手を握ってくれた。

少し、落ち着いてきたようだった。

真白は呼吸を整えて、屋敷に足を踏み入れた。

「よく来たな。待っていたぞ」

そこには、真白が何度も鏡で見た女性が立っていた。