「早くみんなを見つけなきゃ」

真白と要は再び歩き始めた。

すると、前方から誰か歩いてくるのが見えた。

春香と慧と千輝だ。

「春香!」

真白は春香に呼びかけた。

「真白⁈」

こちらに気づいて駆け寄ってくる。

「よかった。あとは結奈と天音だけですね」

要が安心したように言った。

『それなら、またこいつで探すか」

慧が人型の紙を取り出して、結奈と天音の名前を書いた。

「これであの二人の居場所がわかる」

人型の紙は宙に浮いて、前に進んだ。

「追いかけるぞ」

紙を追っていくと、廊下にうずくまっている結奈と天音がいた。

「結奈!天音!」

真白が呼びかけると、二人は顔を上げた。

その顔は真っ青だった。

「霊力の使いすぎで、体に力が入らなくて…」

結奈がか細い声で言った。

二人は慧と千輝がおぶった。

「紫音と花蓮はどこにいるんだ?」

慧が言った。

「その二人なら、渚さんと隼人が連れて行ってくれました」

真白が説明した。

「渚…?あぁ、あいつか」

「高嶺先生、知ってるんですか?」

要が聞いた。

「子供の頃に会ってるんだ。そのあとすぐに渚は京都に修行に行ったけどな。最近結婚したみたいで、そのままこっちに住んでいるとは聞いていたが…」

「あ、よかった。みんないたんですね」

湊が歩いてきた。

「湊、屋敷の出口まで案内してくれないか?結奈と天音が辛そうなんだ」

湊はおぶられている二人を見て深刻な顔をした。

「…これは、早く休ませないといけないですね」

真白たちは、湊に案内されて、屋敷の外に出た。

真白は屋敷から出る直前、何かが背中に触れた気がした。

「ん?」

背中に触れたが特に変な感じはしなかった。

「真白、急いで」

要に言われ、走り出した。

屋敷から出てすぐに湊のスマホが鳴った。

「姉さん?」

通話ボタンを押して、電話に出た。

「もしもし姉さん?え?家に?…うん。わかった。すぐ行くよ」

湊が電話を切った。

「えっと、隼人たちのことを俺の姉さんが家に連れてったみたいだから、ついてきてくれますか?」

真白たちはそのまま湊のあとをついていった。


旅館がある場所から遠く離れた場所に来た。

そこには立派な屋敷があった。

見た感じは洋風だ。

「湊!」

「姉さん、天音と結奈を寝かせてあげて」

渚はちらっと天音と結奈を見た。

「わかった。こっちだ」

慧と千輝は渚のあとをついていった。

「みんなも疲れたでしょ?中に入ろう」