そのまま、青年は消えていった。

結奈と天音は、床にへたり込んだ。

「はぁ…はぁ…」

大きく息をして、呼吸を整えた。

「早く…みんなのところに行かないと」

二人はフラフラと立ち上がって、歩き出した。

「全員、やられたか…」

鏡で女が様子を見ていた。


真白たちは、他にはぐれた仲間を探していた。

「君たちは湊と同じ学校なのか」

「はい」

真白が答えた。

「私は湊の姉だ。年は二つ離れている。今までは京都に修行に来ていてあまり会っていなかったな」

「修行?」

真白は疑問に思って尋ねた。

「京都に仲のいい術師の家があって、そこで巫女の力を引き出せる修行をしていたんだ」

(そんなことができる場所があるんだ)

曲がり角で誰かとぶつかった。

「紫音!花蓮!」

二人とも傷だらけだ。

「どうしたんだ?その傷」

「この屋敷にいたやつにやられた。なんとか浄化できたけどな」

紫音が苦しそうに息をしながら言った。

「早く治療しなければ。だいぶ弱っているな。私はこの子達を連れて一旦屋敷を出る。君、手を貸してくれるか?」

渚は隼人に言った。

「でも、どうやって出るんですか?」

「来た道は覚えている。君たち二人も一緒にくるか?」

聞かれた真白と要は首を振った。

「私たちはまだここに残ります。天音と紫音を連れて、戻ってください」

「わかった。気をつけろ」