真白(ましろ)はある屋敷に立っていた。

それは彩葉(いろは)が暮らしていた屋敷でも、(みなと)が住んでいる家でもない。

「ここは、どこ?」

ところどころが劣化しており、床はあちこち抜けて、蜘蛛の巣が張っていた。 

 なんとなくここにいたくない、そう思った真白は出口を探した。

だが、いくら歩いても出口が見つからない。

「疲れた…」

床に座り込んだとたん、黒い霧が真白を飲み込んだ。


「いやっ!」

真白は自分の悲鳴で目を覚ました。

目を開けると、いつもの部屋だった。

「なんだったの?今の夢…」

外を見ると、白い雪がしんしんと降っていた。