『ごめんね。
どう言うこと?って思うよね。
僕が君に酷いこと言ったの覚えてるよね。
その時のこと。
僕はあの時、混乱していたんだ。
僕はもう一つ、
君に謝らないといけないことがある。
僕は虚血性心疾患だ。
君に会う前からずっと。
生まれた時から。
新学期に休んだのは、
症状が悪化していたから。
君と同じ。』
どういうことか理解できなかった。
私と同じ?
どういうこと?
先生を見た。
先生は何も言わずに私を見ている。
『でも、僕の方が重症なんだ。
薬を飲まないといけないほど。
君に初めから話すつもりはなかった。
君は人のことを大いに心配するから。
君のことを思ってだ。
誰も悪くない。
この一年で嫌いな知らない君から、
     いい人になったよ。
君は変わってない。
僕が変わったんだ。
君が変えてくれた。
ありがとう。
ありがとうばかり言っているとくどいな。』

思わず笑ってしまう。
夏樹らしい。

『とにかくありがとう、そしてごめんね。
とにかく、手術を受けて。
そして、僕の分まで生きて。
君は生きる幸せを感じることができる。
大丈夫。
それで灯里、悪いことしない?
悪いことっていうのは僕を忘れること。
僕を忘れて。
佐藤夏樹を忘れて。
はぁ?って思った?
思うよね。
悪いことは先に君が言ったんだよ。
それはいいとして。
灯里が気になってるのは『忘れろ』でしょ?
急に言われてもね。
僕も本意で言ってるわけじゃない。
でも、忘れて。
大丈夫。
僕はいなくならない。
君の心の中にずっといる。
ずっと一緒にいる。
安心して。
大丈夫。
君はわかんないかもしれないけど
灯里は成長しているよ。』

3枚目を開いた。