目が覚めると真っ赤な夕焼けが窓一面に光っていた。
先生とお母さんがいた。
涙はとっくに引っ込んでいた。
先生が何かを取りに行ったことを思い出した。
「先生、さっき何か取りに行ってましたよね?
何を取りに行ってたんですか?」
「あぁ、夏樹の日記だよ。」
「えっ……。」
言葉が出ない。
夏樹が日記を書いていた?
意外でびっくり。
「読むか?」
「読んでもいいんですか?」
「もちろんだ。」
「ありがとうございます。」
前半は私に会う前の日記がだった。
辛いことが多くって、読むのを途中でやめた。
少しめくると、「灯里が………。」と
書かれたページを見つけた。
少しずつ読んでいく。
私と会った日のこと。
放課後、運動会、クリスマス。
全てのことが鮮明に書かれていた。
旅行の前日で日記は終わっていた。
読み終わると日記帳から
何かがはらりと落ちた。
「落ちたぞ。
これが一番大事なんだぞ。
読んでやってくれ。」
「はい。」
静かに答える。
紙は手紙のような形をしていた。
『灯里へ』と書かれている。
恐る恐る開けてみると、
夏樹の字で目一杯に書いてあった。
綺麗な字。
上から順番に目を通す。