10時、現地到着。
「あ〜。
着いた〜。
遠すぎでしょ。」
「そこまで遠くはないですよ。」
「いや〜。
座ってると案外長いもんだよ。
2時間って」
「あっ、見えてきましたよ。
今日泊まるとこ。
案外大きい。」
「すっご〜。
大きい。
今日私たち、ここに泊まるの?」
「そうですよ。
受付行ってきますね。
ちょっと待っててください。」
10分ぐらい待っていると
夏樹が帰ってきた。
エスカレーターに乗り込んで、
6階のボタンを押す。
「ここですね。」
夏樹が部屋の鍵を開ける。
「入っていいですよ。」
「ありがとう」
あっ、と思って夏樹の手を見る。
鍵が一つ。
私と夏樹がおんなじ部屋?
えっ。違う部屋だと思ってた。
夏樹が予約してくれたってことだから、
夏樹が選んだってこと?
いやいやいや、夏樹が選ぶわけない。
聞いてもいいけど、気まずいな。
結果次第によっては相当気まずい。
とりあえず、
ここは気づかないふりをしておこう。
「夏樹。
ここに荷物置いといていい?」
「うん。
僕もそこにおきますね。」