いろいろあった冬ももうすぐ終わる。
春がやってくる。
進級する。
私は無事に退院した。
桜は3分咲き。
そうだ。
夏樹とお花見行こう。
きっと楽しい。
きっと、思い出。
その日の放課後、
夏樹と話した。
「ねぇねぇ、お花見行こう。」
「別にいいけど、体調は大丈夫なの?
いつ行くの?」
「もう大丈夫。
桜が満開になったら行きたい。
またその時になったら、
また、言うよ。」
「わかった。」
「じゃあね。
また明日。」
今日も夏樹と話せた。
話せるだけで嬉しい。
よし、帰ろう。と思った時。
「待って。」夏樹が言った。
「どうしたの?」
「ええっと、スマホ持ってる?」
何を聞きたいんだろう?
何をしたいんだろう?
「持ってるよ?」
「ええっと、学校で話すの大変だからさ、
あの…連絡先交換しない?」
そんなことが言いたかったのか。
「全然いいよ。
確かに学校で話すの大変だよね。
はいっ。
交換しよう。」
今、夏樹が何を思っているのかは
夏樹にしかわからない。
でも、少しずつわかっていけばいいと思う。
ライン交換も大切な一歩。
「また明日ね。」
私は元気よく言った。
「えっ、あっ。うん」