「この目に焼き付けておくのだ。変わってゆく景色を、変わってゆく世界を」

 そう言って、皇子は深呼吸をする。
 胸の中に空気をたくさん取り入れては白い息をゆっくりと吐き出す。

「この瞬間は、全て尊い」

「尊い?」

「そうだ。優花殿と過ごすこの日々も、とてもとても尊い」

 そう、いつものように無邪気に笑う皇子に今日は胸が痛む。私には笑っているのにどこか泣いているように見えた。