__皆は寒くないのだろうか……。
 チラッと隣を盗み見ると至って寒さを感じさせない佇まいに驚く。どうやら昔の人と未来の人では体感温度まで違うようだ。
 皇子は今日も、私の隣でただ外をボーッと眺めている。基本、引きこもり生活をしている。

「ねえ。飽きないの?」と、思わず本音を口にすると皇子が振り返る。

「何がだ?」

「何がって、さっきから同じ景色ばかり見てるじゃない」

 すると皇子はふわりと笑う。

「同じ景色などないぞ?」

「え?」

「同じように見えるが、毎日毎日景色は変わっていく。その変化を見つけるのが楽しいのだ」と、満面の笑みで言われても困る。

「ほれ。あの鳥を見よ」

 皇子は木の枝にとまっている雀を指差す。

「少しすると飛んでいくであろう。さすればもう、先程までの景色はどこにもないのだ」

「それは、そうだけど……」