「シロタエって?」

「梶の木などの繊維からできる白い布があるのだが、その布でできた衣のことを白妙(しろたえ)と言うのだ。優花殿の世界にはシロタエはないのか?」

「……聞いたことがないけど。それって、どんな時に着るものなの?」

「人がミマカル時だ」

 __ミマカル。
 私の曾祖母ちゃんが亡くなった時に誰かがその言葉を遣っていた気がする。そういう時に着る服といえば……。

「喪服って言う衣ならあるよ。色は白じゃなくて黒だけど」

「そうなのか」

 皇子は心底驚いたのか、ほうほうと頷いている。それより、私には気になることがあった。

「……誰か亡くなったの?」

 喪服を着てたということは、そういうことなのだろう。