「皇子に力はないの?」

「優花殿は、やはり愉快だな」

 こんな質問は失礼極まりないとわかってはいるけど……。

「なろうと思えば、なれる力はあるんだろうなって」

「何故そう思う?」

 さっき大岩さんが言っていた。
 だけど立ち聞きしていたことがバレてしまうから「何となく」と、曖昧に答えると皇子は笑う。

「この難波宮を見ればわかるであろう? 残っている者は、とても少ない」

 その言葉にハッとする。