「好いてはならぬ」

 思いがけない答えに呆然とする。

「どうしてよ」

 皇子だから言い名付けがいるのだろうか。

「私は狙われる身。それ故、誰も愛さぬと誓った。己の道に巻き込みたくないのだ」と、切ない声がポトリと落ちる。
 いつか自分は殺される。だから恋なんてしちゃいけい。そんなのおかしい。そう思ったけれど、何も言えない。身分も立場も違う私に皇子の気持ちはわからない。その命の危うさを理解することなんてできないから。