いつもは大人っぽいのに、こういうところは子供。私だって普通の世間話しなら話せるけれど舎人さんに恋患いと間違えられたなんて言えない。それは私が皇子を意識している証拠。
 結局、皇子は夕餉の時もろくに会話をしなかった。寝るときは衝立があるからまだ気が楽だけど。目を閉じるとトクトクと自分の心臓の音がする。
 私と皇子とでは身分も生きる時代も違う。私はいつか未来に戻るし、そうしたら皇子は過去の人になる。 胸がキュッと締めつけられるけれど、それが事実。だけど、ずっと隣で笑っていて欲しいなんて望む自分がいる。