先程、皇子は家臣達だけを連れて屋敷の中へと入って行ってしまった。侍女達と私は外で待っていたのだけれど、寒いからと飛鳥宮の人が客室に通してくれた。そして、今話が終わるのを待っている。
 それにしても屋敷の大きさも使用人らしき人の数も半端ない。きっとこの中には難波宮にいた人達もいるのだろうと思うと若干腹が立つ。しばらくすると私達は女官に呼ばれ屋敷の外へと出る。すると話し合いは終わったのか既に皇子達の姿があった。

「どうだった?」

「斉明大王は喜ばれておった」

 その笑顔を見てホッとする。
 __中大兄皇子は?
 気になるくせに聞けないのは私の弱さ故。