朝餉のお粥を食べ部屋で少し休むと「皇子・塩谷・舎人」さん。「私と侍女達」。に別れて温泉へと向かった。大岩さんと境井さんはお留守番。 住職さんから教えてもらった通りの茂道を歩くとすぐに温泉に辿り着く。ある日突然湧き出した温泉は天からの思し召しだと言っていた。

「これはこれは。立派だな~」

「そうでございますね」

 口を開けたままの私の隣で皇子と侍女達が感動している。

「どうされました?」

 舎人さんの声が遠くに聞こえるのは想像していた露天風呂とはあまりに違ったから。まるでジャングルの中の小さな泉のような。当然、洗い場も脱衣場もない。夜なんて絶対に野生動物とお化けが出そうだ。