「……許せぬ」

 切なさの滲む声に振り返ると皇子は顔を歪めていた。

「……何も出来ぬ己も同罪だがな」と、自分を嘲笑う。
 __同罪?
 私にはその意味はわからない。だけど皇子が酷く傷ついているように見えた。
 頭で考えるよりも先に、気づけばその手を握っていた。触れてより意識する。大きくて少しゴツゴツとした手。早くなる鼓動も今はどうでもいい。理由なんてわからないけれど皇子には笑っていて欲しい。