「今日は、どなたがいらしているのですか?」

「大岩さん」

「そうのですか」

 いつの間にか五月雨さんにも短縮系の呼び名で伝わるようになった。

「終わったようですよ?」

「あ、本当だ。じゃあね」と、五月雨さんに手を振ると振り返してくれる。そして目の前から涼しい顔で歩いてきた大岩さんに挨拶をする。
 今日も優しく微笑んでくれるけど、やっぱり苦手だ。この人はいつも目が笑ってない。