「優花様? 冷めてしまいますよ?」

 微笑む五月雨さんの姿が未来の麻美と重なる。
 私には未来で待っている人達がいる。だから、いつかは戻らないといけない。
 __戻らないとならない。

「……いただきます」

 変化しつつある自分の気持ちを無視するように、目を閉じて手を合わせると目の前で皇子も同じ動作をする。
 いつもでも、こうして私の目の前で生きていて欲しい。だけどそれは叶わないこと。そんなことは私が一番わかっているはずなのに。