「済んだようにございますよ」

 五月雨さんの声で廊下に出ると皇子の部屋から側近の人達が出ていく所だった。

「優花殿。何かお困りのことがございましたら、なんなりとお申し付けくださいね」

 そう言ってくれたのはイケメン塩谷さん。
 大人の余裕と色気を感じて思わず口ごもってしまう。

「あ、ありがとうございます」

 その隣では舎人さんがニコニコと微笑んでいる。本当、人の良さが顔に出ている。

「では、失礼致します」

 去っていく二人の後ろには大岩さんと境井さんがいる。大岩さんは目が合うとすぐに微笑んでくれたけれど、目の奥が笑っていないとわかる。
 __何か。嫌な感じ。
 境井さんはヘコヘコとしながら足早に去っていった。