「優花殿は妖術が使えるのか?」

「た、ただ和紙を織っただけでしょ!」

 慌てて手を引っ込める。けれど皇子の手の感触が残っていて何だか心臓が騒がしい。

「未来では、どのような時に和紙を織るのだ?」

 波打つ鼓動を感じながら一生懸命平常心を装う。

「未来では和紙じゃなくて折り紙という専用の紙があるの。折って遊んだり、あとは「病気の人が治りますように」って願いを込めて鶴を折ることもある。それは、千羽鶴っていってこの鶴を千羽も織るんだよ」

「……オリガミで鶴を千羽も」

「そう。それを紐に繋げて渡すの」

「それ程の数に想いが込もってとるのならば病も驚いて逃げていくに違いないな」と、皇子がニコニコと笑う。
 __病い。
 しかし、その言葉がこの心にチクリと刺さる。