「入るよ」

 私が部屋に戻ると皇子は縁側に座っていた。

「五月雨さんから和紙をもらってきた」

「和紙? 何に使うのだ?」

「今日は座ってできる遊びをしようと思って」

 私はいつものように皇子の隣に腰を下ろす。

「どのような遊びだ?」

 黒いピカピカの漆器の箱の中から白の和紙を取り出す。

「この和紙を織って鶴を造るの」

「鶴!?」

目をパチクリさせる皇子に「見ててね?」と、ニヤリと笑う。小学校の頃にお母さんに教わった折り紙は唯一私の特技でもある。あの頃は毎日織っていた。