「ふいー、着いたな」
 俺は本日海老名にあるロマンスカーミュージアムに来ていた。ここは、小田急の歴代のロマンスカーの車両が展示してあったり、本物のロマンスカーの運転台でシュミレーションができたりする施設だ。俺はよく一人で色々なところに出掛けるのだが…そのたびに必ず友人の家族や自分の親戚に会うのだ。うん、本当に謎。何なんかね、これ。とは思いつつも、何だかんだで三時間ほど楽しませてもらった。個人的には小田急沿線を再現した巨大ジオラマが良かったな。
そこで帰ることにした。帰りに乗るのは小田急の快速急行小田原行き。相模線経由で、茅ヶ崎乗り換えでもいいのだけど、せっかくなら普段使わない小田急で帰ろうと思ったわけだ。いつもなら何のトラブルもなく列車に乗ることができるのだが、その日はやけにぼーっとしていて周りに気が向いていなかったようで人とぶつかってしまった。
 「うわ、ごめんなさい。怪我ないですか?」
 「はい、大丈夫ですよ」
 「よかった、すみません周りが見えてなく…て…、うん?伊月?」
 「あれ?お兄さん伊月のこと知ってるんですか」
 「知ってますけど、もしかしてご家族の方ですか?」
 「はい、そうです。姉の()(つき)です。妹がお世話になってます」
 「あ、お姉様だったんですね。どうも、伊月さんの友人の一山歩夢です」
 「一山くんね。伊月から話は聞いているわ、うん。これならあの子も安心ね」
 「はい?」
 「ん?何でもないわよ」
 何か今とんでもないことが聞こえたような気がしたんですがね沙月さん?まぁ、いいか。ということにして俺は帰ることにした。今回もしっかりフラグ回収しちまったな!