「もー!伊月のやつどこいったんだよ」
かれこれ2時間連絡ついていない状態だ。しかも電波が届いてないっぽい。
伊月が何を考えてるのかよくわからないから変に干渉しない方が良いのかもしれないけどさぁ!流石に心配になるよ?絶対に失いたくない人ですからね。
何かしらアクションがないとこっちがどうすることもできないし。かと言って尾行はどうかと思うし。
あぁもうどーしたらいいんだよー!伊月が家の前通ったりしないかなぁと淡い期待を抱いていたその時。 伊月が俺の家の前を通った。どうやら駅の方に向かっているようだった。
え?なんで?明日学校だしもう夕方と言ってもいいくらいな時間に入っていく頃なのだけど…
その時、自分の中で一つの答えが出てきた。絶対信じたくなかった答えでもこの間の伊月を見てしまったら信じてしまう答え。そう、自殺。
高校生が自殺というケースは数年前から増加してきているのだが、身近な人がそれに該当したことはなかった。そしてないものだと思っていた。いや、自分に思い込ませていたといったほうが的確だろうか。
そんな事を考えつつも、俺の足は駅の方へと向かっていた。
どうやら伊月は一本前の電車で行ってしまったようでもうホームにいなかった。間に合わないかもしれないという不安が俺を支配する。ただ、そんな事考えたところで今の状況が変わるわけでもないので、着くまで何も考えないことにした。
伊月が行く場所の目星はついていた。人気のない海ということを考えれば根府川だろうと思っていた。
どうやらその予想は当たっていたみたいで、海岸に伊月らしき人影が見える。
俺は急いで列車から降りて伊月のもとへダッシュしてそのまま海に入っていこうとしていた伊月をギリギリのところで助けることができた。抱きつくような感じになってしまったのが恥ずかしいけど、今はそれどころじゃない。
ここに来た理由を聞いてみたのだが、海を見に。と言っているあたり、つまりはそういうことなのだろう。本当に助けることができてよかった。
そして伊月は、詳しい理由を話してくれた。俺に思い出したくなかったであろうことを思い出させて、その後何もできなかったこと。それで俺に嫌われてしまったのではないかということ。それで耐えられなくなってしまったとのこと。大事な人がこんな状態なのに気づいてあげられなかった自分が本当に馬鹿だ。
そして俺は伊月のことを嫌いになるわけないということ。俺にとって伊月はとても大事な人だから絶対に失いたくないということを伝えた。すると伊月がこんな事を言う。
『私がこのままいるんじゃ、歩夢はずっとその記憶とともに生きていくことになるんだよ?』
どうやら伊月によると、この記憶のトリガーは伊月らしく、トリガーである伊月が亡くなってしまうと、記憶が消されるらしい。でも、それでも俺は、、
『それでも俺は伊月がいい。俺のこの記憶なんてどうなったていい、俺は伊月に生きてもらうことを選ぶよ』
『歩夢…』
ありがとうと言ってくれた伊月の顔は、笑顔だった。本当に良かった。
そして俺と伊月は帰ることにした。
帰りの東海道線の車内から見えた夕日が今までで一番綺麗だった。伊月は寝てしまったようだ。まぁ、そりゃあ疲れますよね。あんな状態で慣れてないところ来たんだから。
すごく優しくて大人びてるから忘れがちだけど、伊月だってまだ高校生なのだ。本来一人の高校生に背負わせるべきではない負担を一人で背負っていたんだよな。本当に頑張ったな、と思う。何より嬉しいのが俺のための行動だったということ。
今回は自殺というとんでもない方向に飛んでいってしまったが、普段から誰かのために行動できるとても優しい子なのだ。
伊月、生まれてきてくれて、俺と仲良くしてくれてありがとう。出会えて良かったよ。
かれこれ2時間連絡ついていない状態だ。しかも電波が届いてないっぽい。
伊月が何を考えてるのかよくわからないから変に干渉しない方が良いのかもしれないけどさぁ!流石に心配になるよ?絶対に失いたくない人ですからね。
何かしらアクションがないとこっちがどうすることもできないし。かと言って尾行はどうかと思うし。
あぁもうどーしたらいいんだよー!伊月が家の前通ったりしないかなぁと淡い期待を抱いていたその時。 伊月が俺の家の前を通った。どうやら駅の方に向かっているようだった。
え?なんで?明日学校だしもう夕方と言ってもいいくらいな時間に入っていく頃なのだけど…
その時、自分の中で一つの答えが出てきた。絶対信じたくなかった答えでもこの間の伊月を見てしまったら信じてしまう答え。そう、自殺。
高校生が自殺というケースは数年前から増加してきているのだが、身近な人がそれに該当したことはなかった。そしてないものだと思っていた。いや、自分に思い込ませていたといったほうが的確だろうか。
そんな事を考えつつも、俺の足は駅の方へと向かっていた。
どうやら伊月は一本前の電車で行ってしまったようでもうホームにいなかった。間に合わないかもしれないという不安が俺を支配する。ただ、そんな事考えたところで今の状況が変わるわけでもないので、着くまで何も考えないことにした。
伊月が行く場所の目星はついていた。人気のない海ということを考えれば根府川だろうと思っていた。
どうやらその予想は当たっていたみたいで、海岸に伊月らしき人影が見える。
俺は急いで列車から降りて伊月のもとへダッシュしてそのまま海に入っていこうとしていた伊月をギリギリのところで助けることができた。抱きつくような感じになってしまったのが恥ずかしいけど、今はそれどころじゃない。
ここに来た理由を聞いてみたのだが、海を見に。と言っているあたり、つまりはそういうことなのだろう。本当に助けることができてよかった。
そして伊月は、詳しい理由を話してくれた。俺に思い出したくなかったであろうことを思い出させて、その後何もできなかったこと。それで俺に嫌われてしまったのではないかということ。それで耐えられなくなってしまったとのこと。大事な人がこんな状態なのに気づいてあげられなかった自分が本当に馬鹿だ。
そして俺は伊月のことを嫌いになるわけないということ。俺にとって伊月はとても大事な人だから絶対に失いたくないということを伝えた。すると伊月がこんな事を言う。
『私がこのままいるんじゃ、歩夢はずっとその記憶とともに生きていくことになるんだよ?』
どうやら伊月によると、この記憶のトリガーは伊月らしく、トリガーである伊月が亡くなってしまうと、記憶が消されるらしい。でも、それでも俺は、、
『それでも俺は伊月がいい。俺のこの記憶なんてどうなったていい、俺は伊月に生きてもらうことを選ぶよ』
『歩夢…』
ありがとうと言ってくれた伊月の顔は、笑顔だった。本当に良かった。
そして俺と伊月は帰ることにした。
帰りの東海道線の車内から見えた夕日が今までで一番綺麗だった。伊月は寝てしまったようだ。まぁ、そりゃあ疲れますよね。あんな状態で慣れてないところ来たんだから。
すごく優しくて大人びてるから忘れがちだけど、伊月だってまだ高校生なのだ。本来一人の高校生に背負わせるべきではない負担を一人で背負っていたんだよな。本当に頑張ったな、と思う。何より嬉しいのが俺のための行動だったということ。
今回は自殺というとんでもない方向に飛んでいってしまったが、普段から誰かのために行動できるとても優しい子なのだ。
伊月、生まれてきてくれて、俺と仲良くしてくれてありがとう。出会えて良かったよ。
