そのまま日比谷線に乗り、北千住に着いた。果たしてこれからどうするのだろうか、と考えていたのだがとりあえずスペーシアXに乗れるとのことで普通に嬉しい。そしてちょっと待つと、スペーシアXが到着した。
「お、来たね。」
「そうだね、満席でプレミアムシートを取れなかったのが悔しいけど」
どうやら伊月は、プレミアムシートに座る予定だったようだ。まあ、プレミアムと言っても特急料金+200円で乗れるので決して無理な金額ではないが。ただ、シートは、グランクラス並みとのことなので乗ってみたい気持ちはもちろんある。乗車してからは、いつも通りの俺たちでいつも通りの話をしていた。いつも通りの俺たちなので、東武日光に着くのはあっという間だった。
「ふー、着いたね。私初めてだよ、東武日光に来るの」
「そうなの?まあ俺も初めてだけど。」
「じゃあ観光しますか」
「なにするの?地元走り?」
「やめなさい、頭●字Dじゃないんだから。普通に駅周辺の散策でもしようよ」
「そうだね」
日光は観光地として栄えているのでカフェやお土産屋がたくさんある。
うん、これ見てるだけでも結構楽しいな。国府津からあまり行きやすくないからそうそう来れないけどまた誰かと来たいな。それが伊月だったら良いのにと思っていたのは秘密。
1時間ほど散策して東武日光駅に戻りそのまま帰ることした
「よし、乗りますか。普通南栗橋行き」
「あれ?特急使わないの?」
「うん」
あら珍しい、普段は特急や座席指定列車があれば迷いなく乗るのに。
「それじゃ切符買おうか」
「いいの、私が歩夢の分も往復のきっぷ買ったから」
「そうなんだ?」
うん?俺金払ってねえぞ?どゆこと?と、困惑しつつも列車に乗り込む。乗るのは、前回日光線来たときと同じ21421f。
確かサリンの被害車では唯一の現存車両だったような。まあそんなことは、いいとして乗り込むことにした。
「歩夢は、そこに座って」
「お、おう」
乗り込むと、いきなり伊月が座る場所を指定してきた。今日の伊月の行動には、不可解なところが多い。何かしら意味があるのだろうけど。乗ってからは、少し離れていたので話すことはなかった。
下今市に到着すると、多くの人が乗り込んできた。ローカル線の普通列車にここまで人が乗るとは思えないのだけど…多少不快に感じながら乗っていたのだが、伊月が視線を送ってきていた。なにかと思って下をみると、お尻のあたりを男に触られていた。痴漢だ。すぐに解決しなくてはいけないと思い、最近できた痴漢通報用のアプリを開き路線と便と場所を指定して駅員に伝えてもらった。新鹿沼でたくさん人が降りたので、そこでつかまえることにした。
「何してんだてめぇ!」
「あ?うわっ」
相手が思ったより雑魚だったおかげで簡単に捕まえることができた。
「あ、歩夢」
「わかってるよ」
「うん...ありがとう」
おそらく、怖かったよね、とか言ったところで逆効果なのだろう。本当の怖さは本人にしかわからないのだから。その後伊月は、疲れた表情で俺に寄りかかっていた。
そんなこんなで栃木に到着した頃には元の表情に戻っていた…のだが、そこで事件が起きた。
「あ、あなた何持ってるの!?」
そう、爆竹を持っているトンデモ野郎がいたのだ。さすがに目につくので止めることにした。
「お兄さん?今手に持ってるのは何ですか?」
「あ?うるせぇよ!俺が何しようと自由だろ!!」
「じゃなくて、爆竹持ってますよね?早く安全な場所に持っていってください」
「だからうるせぇよ!もういい火つけてやる」
あ、ヤバいなと思ったのでとりあえず伊月に駅員を呼んでもらった。そして俺は、これを踏んで火を消せばOKと、思ったのだが…
「こ、こんなものえいっ」
と、外に蹴ってしまった女性がいたのだ。そのまま爆竹は爆発し、大きな音がなった。それは当たり前なのだが、何かこの景色見たことあるような…前はもっと混雑していたような…危険物を外に蹴り出す…ここまで考えたところで、一つの記憶がヒットした。本来俺が持つはずのない記憶に。信じられない。というか、信じたくなかった。
これが間違っていなければ、俺は地下鉄サリン事件の被害者で、亡くなったあとに生まれ変わって今の俺になった。ということだ。しかも前回と同じ車両で、それが偶然だとしたらどうだろう。もしかして伊月が狙ったのか?ということは、伊月も…?俺と同じ…?そう考えていると、伊月が駅員さんと共にやってきた。
「おーい歩夢、連れてきたよー」
「ああ、ありがとう」
「大丈夫ですかお客様?お怪我はありませんか?」
「大丈夫です、あと、その爆竹男逃げました。」
「そうですか…ちなみにどの列車に乗ったか分かりますか?」
「両毛線の小山行きに乗っていきましたよ」
「はい、ありがとうございます。では、安全確認を取りますので少々お待ち下さい」
その人の話によると、安全確認ができるまで十分ほど停車したままとのこのだ。
まあ、それはいいのだけど…気になるのはさっきのこと。そもそもなぜそんなことを思い出したのか。そしてなぜ俺がこのことを思い出していないことを伊月が知っていたのか。謎は深まるばかりだ。それについて考えていると栗橋駅に到着した。ここでJRの宇都宮線に乗り換える。乗り換えたところで、伊月に聞いてみることにした
「なあ伊月、俺たちってあの車両に25年以上前に乗ったことがあるんだよな?」
「はぁ…思い出しちゃったか、そうだよ1995年3月20日の午前8時ごろ、霞ヶ関までね」
「…!」
言葉が出てこなかった。間違いなく地下鉄サリン事件の日付だ。それが分かった瞬間、もう何も聞こえなくなった。というか、頭に稲妻が走った、という感覚の方が近いだろうか、それぐらい驚いたのだ。その日はどう行動したのか覚えてない。とりあえず伊月と家に帰ってとても疲れていたせいか、夕食を食べずにそのまま寝た。
「お、来たね。」
「そうだね、満席でプレミアムシートを取れなかったのが悔しいけど」
どうやら伊月は、プレミアムシートに座る予定だったようだ。まあ、プレミアムと言っても特急料金+200円で乗れるので決して無理な金額ではないが。ただ、シートは、グランクラス並みとのことなので乗ってみたい気持ちはもちろんある。乗車してからは、いつも通りの俺たちでいつも通りの話をしていた。いつも通りの俺たちなので、東武日光に着くのはあっという間だった。
「ふー、着いたね。私初めてだよ、東武日光に来るの」
「そうなの?まあ俺も初めてだけど。」
「じゃあ観光しますか」
「なにするの?地元走り?」
「やめなさい、頭●字Dじゃないんだから。普通に駅周辺の散策でもしようよ」
「そうだね」
日光は観光地として栄えているのでカフェやお土産屋がたくさんある。
うん、これ見てるだけでも結構楽しいな。国府津からあまり行きやすくないからそうそう来れないけどまた誰かと来たいな。それが伊月だったら良いのにと思っていたのは秘密。
1時間ほど散策して東武日光駅に戻りそのまま帰ることした
「よし、乗りますか。普通南栗橋行き」
「あれ?特急使わないの?」
「うん」
あら珍しい、普段は特急や座席指定列車があれば迷いなく乗るのに。
「それじゃ切符買おうか」
「いいの、私が歩夢の分も往復のきっぷ買ったから」
「そうなんだ?」
うん?俺金払ってねえぞ?どゆこと?と、困惑しつつも列車に乗り込む。乗るのは、前回日光線来たときと同じ21421f。
確かサリンの被害車では唯一の現存車両だったような。まあそんなことは、いいとして乗り込むことにした。
「歩夢は、そこに座って」
「お、おう」
乗り込むと、いきなり伊月が座る場所を指定してきた。今日の伊月の行動には、不可解なところが多い。何かしら意味があるのだろうけど。乗ってからは、少し離れていたので話すことはなかった。
下今市に到着すると、多くの人が乗り込んできた。ローカル線の普通列車にここまで人が乗るとは思えないのだけど…多少不快に感じながら乗っていたのだが、伊月が視線を送ってきていた。なにかと思って下をみると、お尻のあたりを男に触られていた。痴漢だ。すぐに解決しなくてはいけないと思い、最近できた痴漢通報用のアプリを開き路線と便と場所を指定して駅員に伝えてもらった。新鹿沼でたくさん人が降りたので、そこでつかまえることにした。
「何してんだてめぇ!」
「あ?うわっ」
相手が思ったより雑魚だったおかげで簡単に捕まえることができた。
「あ、歩夢」
「わかってるよ」
「うん...ありがとう」
おそらく、怖かったよね、とか言ったところで逆効果なのだろう。本当の怖さは本人にしかわからないのだから。その後伊月は、疲れた表情で俺に寄りかかっていた。
そんなこんなで栃木に到着した頃には元の表情に戻っていた…のだが、そこで事件が起きた。
「あ、あなた何持ってるの!?」
そう、爆竹を持っているトンデモ野郎がいたのだ。さすがに目につくので止めることにした。
「お兄さん?今手に持ってるのは何ですか?」
「あ?うるせぇよ!俺が何しようと自由だろ!!」
「じゃなくて、爆竹持ってますよね?早く安全な場所に持っていってください」
「だからうるせぇよ!もういい火つけてやる」
あ、ヤバいなと思ったのでとりあえず伊月に駅員を呼んでもらった。そして俺は、これを踏んで火を消せばOKと、思ったのだが…
「こ、こんなものえいっ」
と、外に蹴ってしまった女性がいたのだ。そのまま爆竹は爆発し、大きな音がなった。それは当たり前なのだが、何かこの景色見たことあるような…前はもっと混雑していたような…危険物を外に蹴り出す…ここまで考えたところで、一つの記憶がヒットした。本来俺が持つはずのない記憶に。信じられない。というか、信じたくなかった。
これが間違っていなければ、俺は地下鉄サリン事件の被害者で、亡くなったあとに生まれ変わって今の俺になった。ということだ。しかも前回と同じ車両で、それが偶然だとしたらどうだろう。もしかして伊月が狙ったのか?ということは、伊月も…?俺と同じ…?そう考えていると、伊月が駅員さんと共にやってきた。
「おーい歩夢、連れてきたよー」
「ああ、ありがとう」
「大丈夫ですかお客様?お怪我はありませんか?」
「大丈夫です、あと、その爆竹男逃げました。」
「そうですか…ちなみにどの列車に乗ったか分かりますか?」
「両毛線の小山行きに乗っていきましたよ」
「はい、ありがとうございます。では、安全確認を取りますので少々お待ち下さい」
その人の話によると、安全確認ができるまで十分ほど停車したままとのこのだ。
まあ、それはいいのだけど…気になるのはさっきのこと。そもそもなぜそんなことを思い出したのか。そしてなぜ俺がこのことを思い出していないことを伊月が知っていたのか。謎は深まるばかりだ。それについて考えていると栗橋駅に到着した。ここでJRの宇都宮線に乗り換える。乗り換えたところで、伊月に聞いてみることにした
「なあ伊月、俺たちってあの車両に25年以上前に乗ったことがあるんだよな?」
「はぁ…思い出しちゃったか、そうだよ1995年3月20日の午前8時ごろ、霞ヶ関までね」
「…!」
言葉が出てこなかった。間違いなく地下鉄サリン事件の日付だ。それが分かった瞬間、もう何も聞こえなくなった。というか、頭に稲妻が走った、という感覚の方が近いだろうか、それぐらい驚いたのだ。その日はどう行動したのか覚えてない。とりあえず伊月と家に帰ってとても疲れていたせいか、夕食を食べずにそのまま寝た。
