六月。
三年八組になって初めての席替えが幕を開けた。

席替えって学校生活の中で重要イベントの一つとしてカウントされるし、
誰が隣になるのか、誰と同じ班になるのかでこれからの学習意欲にも大きな影響を及ぼす。

(このクラスなら、誰と隣になってもあまり変わらないだろうけど、)

そう思った私はすぐに考えを改める。

おはよう、と声をかけてくれる林さん。

「生徒会長」が口癖の五十嵐君。

そして、名前だけは知っている星宮君。

この三人は、クラスの中でもまだ関わりのある人たちだから、
同じ班になると班活動が楽かも、と半分考えることにした。

中間考査が終わり、期末考査を六月末に控えた三年八組は
勉強しない、クラスではあるけれど
少なからず迫り来る考査に緊張感は走っているみたいで、
「席替え」というワードにソワソワしている。

ここは訂正する必要がある。
迫り来る考査に緊張しているのではなく、
仲のいい子の隣になるかどうかに緊張しているだけだ。