クラス全員の移動が完了し、席に着くと、
豆粒は言い過ぎだけど少なくとも教科書くらいの大きさになった小谷先生が教卓に立つ。
教室の後ろが、こんなにも遠いのかと改めて感じる。
思えば、一番後ろの席とか初めてだな、
と小学時代から記憶を遡っていると、
「俺、理系選択だから、下原と授業被ってるんだよな!」
と五十嵐君が話しかけてくる。
「うん、小谷先生の授業、一緒に受けてるよね。教室の後ろの方に座ってるの、見たことあるよ。」
と返すと、
「下原は、移動教室の時いつも前の方に座ってるよな、もしかして、勉強めっちゃできる感じ?」
なんてニタニタ笑っている。
そんなことないよ、と返しながら、
ここで「そうだよ、勉強めっちゃできるの!」なんて返した場合の世界線を想像してしまう。
「あれだね、移動教室ばっかりだから、隣の席なのはHRの時間ぐらいだね。」
「そうだな。ま、班活動ぐらいは一緒になると思うけど。」
そう言いながら五十嵐君は予定表を眺める。
「あ、あと明日の人権学習ってのは班で何か発表するらしいから、最初で最後の班活動になるかもな。」
ほら、と差し出された予定表を見て、明日の5、6限目に「人権学習」と打ち込まれていることを確認する。
人権学習。
私が苦手としている分野に、五十嵐君と取り組むのかと席替え早々、
憂鬱な気分になる。
「ま、晴輝もいるし、このメンバーで先生も認める、生徒会長に相応しい作品ができるんだろうなぁ。」
なんて言って伸びをする五十嵐君。
五十嵐君の前の席にいた星宮君が振り向いて、
あんま期待すんなって、と言いながら
「一学期、よろしく。」と私に声をかける。
嵐と星空。
高校生活最後の一学期を飾るにはぴったりな二人だな、なんて甘い考えが頭をよぎった。
豆粒は言い過ぎだけど少なくとも教科書くらいの大きさになった小谷先生が教卓に立つ。
教室の後ろが、こんなにも遠いのかと改めて感じる。
思えば、一番後ろの席とか初めてだな、
と小学時代から記憶を遡っていると、
「俺、理系選択だから、下原と授業被ってるんだよな!」
と五十嵐君が話しかけてくる。
「うん、小谷先生の授業、一緒に受けてるよね。教室の後ろの方に座ってるの、見たことあるよ。」
と返すと、
「下原は、移動教室の時いつも前の方に座ってるよな、もしかして、勉強めっちゃできる感じ?」
なんてニタニタ笑っている。
そんなことないよ、と返しながら、
ここで「そうだよ、勉強めっちゃできるの!」なんて返した場合の世界線を想像してしまう。
「あれだね、移動教室ばっかりだから、隣の席なのはHRの時間ぐらいだね。」
「そうだな。ま、班活動ぐらいは一緒になると思うけど。」
そう言いながら五十嵐君は予定表を眺める。
「あ、あと明日の人権学習ってのは班で何か発表するらしいから、最初で最後の班活動になるかもな。」
ほら、と差し出された予定表を見て、明日の5、6限目に「人権学習」と打ち込まれていることを確認する。
人権学習。
私が苦手としている分野に、五十嵐君と取り組むのかと席替え早々、
憂鬱な気分になる。
「ま、晴輝もいるし、このメンバーで先生も認める、生徒会長に相応しい作品ができるんだろうなぁ。」
なんて言って伸びをする五十嵐君。
五十嵐君の前の席にいた星宮君が振り向いて、
あんま期待すんなって、と言いながら
「一学期、よろしく。」と私に声をかける。
嵐と星空。
高校生活最後の一学期を飾るにはぴったりな二人だな、なんて甘い考えが頭をよぎった。