冬休みが始まってから数日経ち、高校サッカーの全国大会が開会した。

 試合会場へ移動するバスの中で、ルナはぼんやりと窓の外を見ていた。

 ……ハルの傍に居ると決めてから、2人で一緒に居る方法を考えたが、なかなか思いつかない。

 このまま何も方法が見つからなかったらどうしよう……と思うこともあったが、ハルを殺さないと決めてから、妙に気持ちが落ち着いていた。

(僕とハルはずっと一緒に居る。きっと大丈夫だ……)

「ルナ、ぼんやりしてどうしたんだ?」

 ルナが考え込んでいると隣の席から景太が声をかけてきた。

「あ……ううん、なんでもないよ」

「そうか?ならいいんだけど。……全国制覇がかかってるから、集中しないとな」

 そうは言って笑顔を作る景太だったが、どことなく無理をしているようだった。

(雨宮さんと、仲直りできてないんだっけ……)

 全国大会前に何度も部活はあったが、百合はいつも他人行儀で景太に接していた。それに対して景太もどうすればよいか分からないようだった。

 景太は無理やり集中しているようだが、普段よりも元気が無い。

「景太、大丈夫?」

「……俺なら大丈夫だよ」

「そっか……無理しないでね」

「ああ。ありがとな」

 景太は、無理やり作った明るい笑顔で頷いた。

(……大丈夫かな?)

 ルナは景太を心配そうに見つめる。

 そうしているうちに、バスが試合会場に辿り着いた。