* * *

「ハル!」

 ルナが目を覚ますと、そこは新幹線の中だった。

 トランプに興じていた3人が、ルナの方を見て目を丸くした。

「ハル?」

「誰だそれ……?」

 渡辺と鳴海は不思議そうに顔を見合わせた。

「ルナ、ハルの夢見てたのか?」

「え、あ……」

「花里、ハルって誰?」

「ああ、ハルはルナの……」

「わー!景太、待って!」

 ルナは慌てて景太の口を塞いだ。

「むぐぐ……分かったよ」

 その様子を見て何かを察した渡辺と鳴海は、ルナの方を見てニヤニヤした。

「黒崎……今晩じっくり聞かせて貰うぞ」

「うぅ……」

 ルナは顔を赤くしてうなだれた。

『間もなく、京都』

「あっ、荷物まとめなきゃな」

 景太はそう言うと、出していた飲み物やお菓子を鞄にしまい始める。

「花里、俺らに抹茶スイーツ奢るの忘れんなよ」

「分かってるよ」

 渡辺と鳴海もニシシと笑いながら荷物を片付けていた。

 ルナは席を前に戻しながら、先ほどの夢のことを思い返す。

(……さっきの夢、一体何だったんだろ)

 ルナは嫌な予感を振り払うように首を振った。

(ただの夢だよね……)