* * *

 一方、百合は1人自室の部屋に閉じこもって、ベッドの上で膝を抱えていた。

「私、最悪……」

 百合は最近の自分を思い返して呟いた。

 役決めで困っているときに助けてくれた景太とは、お礼どころか殆ど言葉を交わしていない。心配してくれたルナに対しても、何も話さずに逃げ帰ってしまった。

 いくら嫉妬されて嫌がらせを受けているとはいえ、酷い有様だった。

(このまま、2人と話せなくなっちゃうのかな……)

 百合は枕に顔を押し付けた。

 なら、嫌がらせを受けて悩んでいること相談すれば良いじゃないか。とも思ったが、2人には迷惑をかけたくなかった。

(どうしたらいいんだろ……)

 その時


 ティロン!


(ハルさんからだ……)

 文化祭に来ないかとの誘いだったが、百合はとても行く気にはなれなかった。

(黒崎君と、景太も行くんだ……)

 2人が行くと知り、尚更行くのがはばかられた。

(……いいや、家に居よう)

 百合は誘いを断るメッセージを送って、そのままベッドに横になって寝てしまった。