* * *

 ルナは涼介の病室に立ち寄った。

 勿論涼介のお見舞いのためだ。あわよくばハルに会えたら……と言う気持ちもあるが。

「こんにちは……」

 病室に入ると、いつものようにハルと涼介がいた。

「あ、ルナだ!」

 涼介の声に気がつき、ハルもルナの方を見る。

 バチンと目が合って、ルナは気恥ずかしくて目をそらしてしまった。 

(ハルに明日来てくれるか聞くだけ……何もやましいことなんかない!)

 ルナが心の中でそう唱えなえていると、ハルは不思議そうに首を傾げた。

「どうかした?」

「あ、いや!その……」

 ルナは焦る気持ちを落ち着けようと深呼吸して口を開いた。

「……うちの高校、明日体育祭なんだけど、ハルも見に来るのかなって……」

 するとハルは頷いて答える。

「あぁ……友達と見に行くつもりだよ」

「ほんとに!?」

 ハルが来る。そう分かった途端、ルナの顔が分かりやすく明るくなった。

 そんなルナに、ハルは不思議そうな顔を向ける。

「それがどうかしたの?」

 ハルに理由を尋ねられ、ルナは顔を赤くした。

「いや、えっと……僕リレー走るんだ。頑張るから、応援して欲しくて……」

 ルナはしどろもどろになりながらも本音を伝える。すると、ハルはニッと笑って力こぶ作った。

「そっか。分かった!ルナのこと応援してるよ」

 その笑顔を見て、ルナも顔をほころばせて力こぶを作る。

「うん!僕、頑張るから」
    
 すると、2人の様子を見ていた涼介が目を輝かせた。

「ルナ走るの?いいな~!僕も走りたい!」

「うん。涼介君の分まで頑張るからね」

「1位になってね!絶対だよ!」

 その言葉にルナはしっかりと頷いた。

(よし、明日は絶対優勝するぞ……!)

 ルナは気合いを入れて、両頬をぱしっと叩いた。